米国の輸入車関税に各国反発 貿易摩擦さらに激化の懸念も
(VOVWORLD) - トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「アメリカの自動車産業はかつてないほど繁栄するだろう」と述べ、関税措置の意義を強調しました。国内製造業の復活と雇用拡大につながるとする見解を示しました。
アメリカのトランプ大統領は26日、輸入車および主要部品に対して25%の追加関税を課すことを正式に決定しました。欧州連合(EU)はこの決定に強く反発し、カナダも報復措置を辞さない構えを見せており、各国との貿易摩擦が一層激化することが懸念されています。高関税は自動車価格の上昇としてアメリカの消費者にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。
トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「アメリカの自動車産業はかつてないほど繁栄するだろう」と述べ、関税措置の意義を強調しました。国内製造業の復活と雇用拡大につながるとする見解を示しました。
今回の関税は4月3日から適用される予定で、乗用車の関税は現行の2.5%から27.5%に、トラックは25%から50%に引き上げられます。エンジンなどの主要部品には5月3日までに適用される方針です。
この措置に対して、国際社会からは厳しい反応が相次いでいます。EUのフォンデアライエン欧州委員長は声明で「極めて遺憾」と述べ、「米欧双方の企業にとって悪影響を及ぼし、消費者にはさらに大きな負担となる」と批判しました。カナダのカーニー首相も「カナダの労働者に対する直接的な攻撃だ」と非難し、対抗措置を示唆しました。日本の石破首相も「あらゆる選択肢を検討する」との姿勢を示しました。
これに対し、トランプ大統領はSNSで「カナダやEUがアメリカに経済的損害を与えるなら、さらに大規模な関税を課す」と警告しました。
今回の措置は、国家安全保障への脅威に対応するための通商拡大法232条に基づいています。アメリカ政権は、自動車産業を「製造業の基盤」と位置づけており、輸入依存の現状に危機感を募らせていました。
一方で、高関税はアメリカ国内の生産コストを押し上げるとする指摘もあります。アメリカ調査会社コックス・オートモーティブによりますと、カナダやメキシコから輸入される自動車は1台あたり約6000ドル(約90万円)のコスト増になると見込まれています。
さらに、アメリカ政権は4月2日に「相互関税」と呼ばれる措置を発表する予定で、これは貿易相手国と同水準の関税をアメリカが課すというもので、日本もその対象になるとみられています。こうした一連の高関税措置は、保護主義の拡大につながり、世界経済への悪影響が懸念されています。(時事通信)